アナロジー的思考

インストラクターコースでレッスンのロールプレイングをよくします。
どう伝えたらわかりやすいか、実践しやすいかを重点的におこなう事が多い。例えば、裏声と地声を分離できない人がいて、その大切さを伝える、実践させるにはどうすれば良いかとか。

多くのインストラクター、講師、私も含めて、気をつけていないと専門用語等を使ってしまいます。自分が普通だと思っている言葉も意外と知らないことが多い。

解剖的に、分離ができている状態というのは、伸びるを担う輪状甲状筋と開くを担う後輪状披裂筋が周りからの影響をほとんど受けず拮抗している状態。分離ができていない状態というのは、この双方の筋肉を動かしている時に、他の筋肉が入り込んでしまっている状態。神経的にいうと、上喉頭神経と反回神経がバランスよくみたいな、、文化人類学的にいうと、何たらかんたら...

詳しい人、インストラクター等にこう学問的に伝える事は良いことだと思いますが、初めてボイトレを始める方、初心者、初学者にはなかなか伝わらない。

このなんとも難しいところを簡略化はなるべくせずに、具体的にわかりやすく伝える方法はなんだと思いますか?

大きく分けて二つあると思っています。

まず一つ目は、声を出している時の体感、体の感覚の最大公約数を探してあげる事。裏声というのは、頭から声が出る感じ、地声は喉を開いた感じでとか...これは最大公約数にはなりませんね。そう感じるとやりやすい人はいるかもしれませんが、もっともっと誰にでも「あーーそう!それわかる!」みたいな事ではないと混乱が生じてしまいます。

裏声というのは、軽く、息が口から漏れている、地声は重く、圧力を感じる。裏声の時、重さ、圧力があったり、地声の時、軽さ、息が漏れている感じがあったら分離ができていないことになります。ほとんどずれが生じない体感、実感を伝えていく事、共有していくことが重要だと考えています。

そして二つめがもっとも大事な事なのですが、アナロジーです。いわゆる比喩表現です。

例えば、目の前に鉄の開き扉があるとします。それを最初から手でこじ開けようものなら重くて、押す時に力がはいりすぎてしまう。→地声的な力が過多な状態。

手で押す前に、風を送って、風が吹くのを待って、扉が少し開門してきたなって時に押せば簡単に開きます。→裏声的な力が強い状態。

他にもたくさんいろんな比喩表現ができると思います。正解はありません。

生徒様の思考内、パラダイム内で、最大公約数を見つけて、比喩表現をしていくことが相手にわかりやすく伝わるのではないかと考えています。

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